よく耳にする言葉ではありますが「記帳」・「経理」の目的をご存知でしょうか?経理は何故必要なのかわかりやすく解説いたします。
・収入と支出がどれくらいあり、利益がどれぐらいあがってるのかを把握するため。
収入(売上)-支出(経費)=儲け(利益の算出)
・個人、会社問わず、経営の舵取りに役立つ情報を得ること
(今月、来月などの資金繰り計画を立てる資料になります)
・誤謬、不正の発見防止に有効
(経理作業に経営機能が有効に作用していると、誤謬、不正等の発生が皆無とはいかないまでも、極力低く抑えることが出来ます)
・「株主さん」 法人個人問わず、資金提供してくれた人達(法人・個人)
・「民間銀行や公庫」 設備資金や運転資金を調達(融資)、返済を継続していく為の資料作り。
・「取引先」 事業の健全性をアピールするために(大手企業と取引開始するときなど)
(税金を計算する上で、決算書(会社)収支内訳書・青色申告決算書(個人))が税金計算の基礎資料になります)
・「国(税務署)」(国税) 法人税(法人)・所得税(個人)・消費税 (法人、個人)
・「県」事業税(法人、個人)地方消費税(法人、個人)
・「市」市民税(法人)市町村民税(個人)、個人事業者であれば国民健康保険料の算出の基礎となります。
見落としがちな重要なポイント
消費税の計算をする上で領収書の保存・帳簿記入をしておかないと仕入控除が受けられません。これは非常に重要です。税務署の調査にて指摘され、何百万も追徴される判例がたくさんあります。
・税金を計算する上で、日ごろの記帳、経理は非常に重要です。
青色申告特別控除を受けられます。この青色申告特別控除を受けられるかそうでないかは、日ごろの記帳、経理の方法によって決まります。
白色申告(特別控除額 0円)
(1)原則として、記帳義務は無し。ただし、前年又は前々年の所得が300万円を超える場合はあり。
(2)原則として、家族従業員の給与は必要経費に算入されません。
例外的に、家族従業員に支払った給料については、一定の要件を元に、一定の金額(かなり少額)に限り、経費の算入を認めています。
(3)赤字が出ても、ほとんどの場合は翌年以降に繰り越せません(一定の場合に限り繰り越せる)
(4)申告期限を過ぎても受け付けてくれる。
(5)帳簿を付けてない場合などは、推計課税(非常に怖いです)の可能性が多分にあり!
青色申告(特別控除額10万円)
(1)単式簿記(簡易な計算)でもOK
(2)青色専従者給与
(奥さんや同一生計親族の給料を一定の要件を基にに」)経費にできる。(注1)
(3)赤字が出たら、その赤字を翌年以降3年間繰り越せる
(税金を計算するうえで非常に有利)
(4)申告期限を過ぎても受け付けてくれる。
(5)税務調査の時に、帳簿に基づかない推計課税はされない。
青色申告(特別控除額65万円)
(1)複式簿記じゃないとダメ。
(貸借対照表+損益計算書を添付しなければならない)
(2)青色専従者給与
(奥さんや同一生計親族の給料を一定の要件を基に)経費にできる。(注1)
(3)赤字が出たら、その赤字を翌年以降3年間繰り越せる
(税金を計算するうえで非常に有利)
(4)申告期限(3/15)厳守!!
(申告期限を過ぎたら10万円控除になる)
(5)税務調査の時に、帳簿に基づかない推計課税はされない。
(注1)専従者控除等
所得税では、原則として生計同一親族(一つ屋根の下に暮らす親族)に支払った経費は必要経費に算入することが出来ません。ただし例外的に、家族従業員に対して支払った給料については、「一定の要件の元に」経費の算入を認めています。
この取扱いが青色と白色で大きく異なります。
夫婦2人だけで営んでいる事業で、奥さんに給料を支払う前の所得が300万円だと仮定します。
実際に奥さんに支払っている給料が月25万円で年300万円だとすると…。
奥さんが納める税金は、給与所得の300万円に係る分で違いはありません。
これに対して、事業主のご主人が支払う税金は、
・青色の場合300万円 - 300万円(青色事業専従者給与・・・奥さんにお支払いいただく給与) = 0円所得が0円税金を納めなくて済むようになります。
・白色の場合300万円 - 86万円(事業専従者控除額の限度額) =214万円214万円に対する税金が課税されます。
上記に該当しない、家族従業員を使わずに仕事をしていて、所得が300万を超えないようなお仕事の場合には、記帳の手間が省ける、簡易な計算で済む、白色申告でも良いのではないでしょうか。どちらを選択するにしても、ご自分の業務内容や性格を考えて決定されてください。
皆さんも一度は「青色申告だと税金が安くなる」という話を聞いたことがあると思います。
「税金が安くなるなら当然青色!」と、適用要件を読んでみると、「取引の一切を正規の簿記の原則に従って記録し、これに基づき貸借対照表と損益計算書を作成すること…」
と書いてあり、このあたりで頭の中は???でいっぱいで、「なんか面倒くさそうだから白色でもいいかなぁ」とか、「取りあえず青色の届出だけ出しておいて、来年の3月に考えよう」とか思ってしまった方もいるのではないでしょうか?
結論を先に書きますと、青色用の帳簿をつける作業はさほど面倒ではありませんので、青色申告をお勧めします。ただ、白色申告にはメリットがまったく無いのかと言うと、そうとも言い切れません。
■市販の会計ソフトと確定申告について とても便利なパソコン会計ソフトですが、「正しくなくてもそれなりのものが出来てしまう」ことが問題です。
そして、個人で確定申告書するにしても、平成16年より国税庁のHPにて無料で簡単に作成することが可能になりました。
それらの申告書は一見すると、キチンと出来てます。内容を見てみると、所得の区分が違っていたり、経費では無いものを経費に入れてしまっていたりと、入力した数値そのものが正しいものでは無い場合のものも多く、何年かしてから税務署からの連絡が入り、後から修正をするということも多々あるようです。
実務上、税金を多く払うような間違えは問題視されませんが、少なく払うような間違えは当然問題となります。今の時代、ネットで検索すれば大抵の疑問も解けますし、実際に問題になってから考えるのもひとつの方法ですが、税務の専門家の税理士・会計事務所に相談をして、適正な申告をしていた方が良いと思います。
また、会計事務所のような記帳代行業に委託する場合でも、領収書をそのまま丸投げするのと、ある程度、自分で帳簿整理が出来ているのでは、支払う手数料も違ってくるのでは無いでしょうか。